痔や肛門からの出血でお悩みの方は非常に多いです。実際、日本人の3人に1人は痔があるといわれています。非常に身近な症状ですが、「恥ずかしい」「人に相談しにくい」という理由で、症状をそのまま放置してしまう方が少なくありません。
今回は、痔と思われる症状のある方が大腸カメラ検査を受けるべきかどうかについて、さまざまな視点から解説します。
痔で大腸カメラ検査をすべき理由は?
痔のある方は、排便コントロールの問題がある、つまり腸にトラブルを抱えている場合が多いので、そういった意味で、痔の方は大腸カメラ検査を受けておいた方が良いといえます。
痔による出血を疑う際、実際は肛門による出血のことが大半です。しかし、腸管からの出血の可能性を否定できないため、大腸カメラ検査は一度は受けておいたほうが安心できます。「ずっと血が出ているけど、痔だろう」とご自身で判断して放置せず、ご相談ください。
潰瘍性大腸炎など、炎症性腸疾患の可能性もあります。近年は、炎症性腸疾患の方が増えてきている印象です。「若いから腸の病気ではない」とも言い切れませんので、お早めにご相談ください。
直近で大腸カメラ検査をやっているのであれば、検査を急がず、1〜2年間隔をあけてもよいと思います。
肛門科でも大腸カメラ検査は受けられる?
肛門科で大腸カメラ検査を受けられる場合、一般的には、消化器内科も標榜しているはずです。痔だと思う症状があって、大腸カメラ検査を受けたいと思われた場合は、標榜科目を参考にしてみるとよいでしょう。
当然、肛門科のみ対応のクリニックもありますので、注意してください。インターネットで簡単に調べられますが、よくわからなければ問い合わせてみるのが確実です。
消化器内科でも肛門科でも、診療科によらず、受けられる「大腸カメラ検査」の内容はほぼ同じです。ただし標榜している診療科によって検査の質・技術の有無が判断できるわけではありません。
痔と関係のある消化器疾患は?
便秘・下痢等の便通異常は、痔の原因となりやすいです。ですから、炎症性腸疾患や大腸がんなどの疾患があって、便通異常となっている場合には、痔になりやすいといえます。
逆に、痔だからこの病気になりやすい、という特定の疾患はありません。痔の原因となっている疾患を確認する、ということが大切です。
大腸カメラで痔は治るの?
稀に、「大腸カメラ検査をおこなうことで痔がよくなるか?」と聞かれることがあります。大腸カメラ検査は、あくまで異常の有無を確認する「検査」であって、治療の手段ではありません。
痔を改善したい場合は、痔の種類を見極め、適切な治療をおこなう必要があります。その場合は、肛門科を標榜したクリニックへかかることをおすすめします。
まとめ
便通異常のある方、痔のような症状(肛門からの出血)がある方は、本当に痔なのか・大腸の病気があるのかを確認するため、大腸カメラ検査をおこなっておくことをおすすめします。
痔があるということは、便通に何らかの問題を抱えていることが多いです。痔を引き起こしている原因疾患の有無を確認するため、大腸カメラ検査を受けましょう。